これまで国際貢献を目的として実施されてきた技能実習制度について、実態の目的との齟齬や実習生の人権問題などさまざまな問題があることから、この制度を発展的に解消し、新しく育成就労制度を創設することとなりました。
本サイトでは、育成就労制度の基本的な事項について、以下のとおり解説させていただきましたが、今回は、取り上げてこなかったいくつかの事項についてお話させていただきます。
【参考】本サイト「育成就労制度とは」
〇 Part1 制度創設の背景
・育成就労制度創設の背景
・育成就労制度はいつから始まる?
〇 Part2 育成就労制度の概要
・育成就労制度の目的(育成就労産業分野)
・育成就労制度の概要(制度の枠組み、在留期間、関係機関、入国に必要な技能等、家族帯同、給料)
〇 Part3 技能実習制度と育成就労制度の違い
・技能実習制度と育成就労制度の大まかな違い(目的、期間、対象職種・分野等)
・本人意向による転籍(転職)の取扱いの変更
〇 Part4 育成就労から特定技能への移行の流れ
・現行の技能実習制度から特定技能制度への移行の流れ
・新たに創設される育成就労制度から特定技能制度への移行の流れ
〇 Part5 技能実習から育成就労へ制度変更するのに当たっての経過措置
・育成就労制度施行への流れ
・育成就労制度施行に当たって技能実習生に対する経過措置
※技能実習を行った職種・作業に対応する育成就労の受入れ対象分野がないもの(表)
育成就労制度の基本方針
国は、育成就労制度を具体的にどんな内容のものにするのか、その基本方針を令和6年から7年にかけて策定することとしています。
現在(令和6年3月現在)は、次のとおり案を定め、策定に向けて動いています。
育成就労制度の意義
育成就労制度の意義は、特定技能制度の受入れ分野(特定産業分野)のうち、外国人に日本国内で就労を通して技能を修得させることが相当と考える分野(育成就労産業分野)の人材を育成し、この分野における人材を確保する仕組みを構築すること。
育成就労産業分野に関する基本的な事項
①育成就労外国人の受入れ分野
・特定産業分野のうち、特定技能1号水準の技能を3年間の就労を通じて修得させることが相当である分野に限って行う。
②育成就労外国人の雇用形態、
・原則として、フルタイムとした上で直接雇用とする。
・派遣形態での受入れができる分野は、季節的業務に従事させる必要がある分野に限られる。
③育成就労産業分野
・育成就労産業分野は、分野別運用方針(※)で定める。
※分野別運用方針は、基本方針策定後、令和7~8年にかけて策定する予定。
育成就労産業分野において求められる人材
①育成就労外国人の家族帯同
・育成就労外国人の配偶者及び子については、在留資格は基本的に付与しない。
(つまり、家族帯同は認められないということになります。)
②育成就労外国人に就労前に求められるもの
・就労を開始する前までに、日本語能力が求められる。
※A1相当以上を基本とて、育成就労産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められます。
育成就労の適正な実施・育成就労外国人の保護を図るための施策
①育成就労実施者の義務
・育成就労計画に定める育成就労期間の終期まで育成就労を行わせること
・育成就労外国人に必要な技能及び日本語能力の試験を受けさせること
②育成就労外国人の待遇
・同等の業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払うこと
・就労期間に応じた昇給その他の待遇の向上を行うこと
③外国人本人の意向による転籍
・やむを得ない事情がある場合のほか、一定の要件を満たす場合(※)には、育成就労外国人本人の意向によ
り育成就労実施者の変更(転籍)を行うことができる。
※ 同一の育成就労実施者の下で育成就労を行った期間が一定の期間(転籍制限期間)を超えている等
派遣で育成就労を実施することはできますか?
・派遣による育成就労については、季節性のある分野(農業や漁業の分野を想定)で受入れることができます。
この場合、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その認定を受ける必要があります。
また、この育成就労計画には、派遣先ごとの派遣時期を定めておく必要があります。
育成就労でドライバーを雇用できますか?
・育成就労制度は、特定技能1号に移行できる人材を育てることが目的とされており、特定技能1号の産業分野(特定産業分野)には、「自動車運送業」が含まれていることから、育成就労制度においてもドライバーの雇用が可能となることが期待されます。
なお、実際に可能となるかは、平成7~8年で策定される分野別運用方針で明らかになる予定です。
・特定産業分野における「自動車運送業」の主な業務は次のとおりです。
・運行業務(運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成等)
・接遇業務(乗客対応等)
以上、これまで6回に分けて育成就労制度に関するお話をさせていただきました。
育成就労制度の各種方針の策定については、現在進行形でまだ確定しているわけではありません。
新しく決まったことがありましたら、あらためてお知らせさせていただきます。
さらにお知りになりたいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。