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育成就労制度とは Part2【育成就労制度の概要】

育成就労制度の目的

これまでの技能実習制度は、技能等の修得等を通じた人材育成による「国際貢献」を目的としたものでした。
今回、技能実習制度を発展的に解消して新たに創設されることとなった育成就労制度は、我が国の人手不足が深刻化している分野(育成就労産業分野:原則、特定技能1号の分野と同じ)において特定技能1号水準の技能を有する外国人の人材育成と人材確保を目的とするものです。

また、育成就労制度は、この制度での就労期間を終えた後、特定技能制度につなげることで、長期にわたり我が国の産業を支える人材を確保することも目指しています。
※育成就労産業分野:特定産業分野(特定技能制度の受入れ分野)のうち就労を通じて技能を修得させることが相当なものとされています。

◆ 育成就労産業分野(特定技能1号の分野)
①介護
②ビルクリーニング
③工業製品製造業
④建設
⑤造船・舶用工業
⑥自動車整備
⑦航空
⑧宿泊
⑨自動車運送業
⑩鉄道
⑪農業
⑫漁業
⑬飲食料品製造業
⑭外食業
⑮林業
⑯木材産業
※詳細については、出入国在留管理庁ホームページ(特定技能1号の各分野の仕事内容)をご参照ください。

育成就労制度の概要

育成就労制度の枠組み

上記で説明したところですが、これまでの技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を目的として創設されたものであり、日本の各職業分野において外国人が所定の期間(1~5年)、就労を通して技能を修得し、母国にその技能を持ち帰るものでした。

この度、技能実習制度に代わって新たに創設された育成就労制度は、人手不足分野である育成就労産業分野(※)において我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、この分野における人材を確保するものです。

育成就労制度で3年間の就労期間を経て、所定の技能検定試験や日本語能力試験に合格すると、同じ産業分野の特定技能制度に移行することができます。

育成就労制度で在留できる期間

育成就労制度において日本で人材育成を受けられる期間は、原則3年間です。

なお、育成就労制度では、3年を経過した場合であっても、特定技能1号への移行に必要な技能に関する試験や日本語能力についての試験に不合格となった場合には、最長1年の範囲内で、一定の在留継続を認めることができることとしています。

育成就労制度に係る関係機関

育成就労実施者(受入れ機関)

育成就労実施者(受入れ機関)とは、外国人労働者を受け入れ、育成を行う企業・団体のことを指します。
また受入れ機関は、育成就労制度に基づいて以下のような役割を果たします。

① 外国人労働者の受入れ
育成就労制度に基づき、日本国内の労働関係法令を守りながら、外国人労働者を受入れ、特定技能1号水準の技能を習得させることが求められます。

② 育成就労計画の実施
受入れ機関は、育成する外国人ごとに育成就労計画を作成して外国人育成就労機構による認定を受け、その後、外国人労働者に対して計画的な育成を行い、技能の向上を図ります。

なお、育成就労計画の認定に当たっては、育成就労の期間が3年以内(注1)であること、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関の体制、外国人が送出機関に支払った費用額等が基準(注2)に適合していることといった要件を設けることとしています。
注1:主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長が可能です。
注2:詳細な要件は、主務省令で定めることとしています。

③ 監理支援機関との連携
受入れ機関は、監理支援機関と連携し、外国人労働者の適切な管理と支援を行います。

監理支援機関
監理支援機関は、育成就労外国人(送出機関)と育成就労実施者の間の雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が適正に実施されているかどうかといった受入れ機関(育成就労実施者)に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護等を行うことになりますます。

また、監理支援機関となるためには、主務大臣(法務大臣及び厚生労働大臣)の許可を受ける必要があります。

なお、技能実習制度における監理団体が監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。

外国人育成就労機構

外国人育成就労機構とは、日本における外国人労働者の受け入れと育成を目的とした新しい機関で、従来の外国人技能実習機構を改組して設立されました。
この機構は、外国人労働者に対する支援や保護、受け入れ機関への指導機能を持つことが特徴です。
主な役割は、次の3点です。

①受け入れ機関への指導
外国人育成就労機構は、受け入れ機関が適切に外国人労働者を育成し、管理するための指導を行います。

②外国人への支援
外国人労働者が日本での生活や仕事に適応できるよう、必要な情報提供や相談支援を行います。

③転籍支援
外国人労働者がやむを得ない事情で転籍を希望する場合、その手続きや支援を行う役割も担います。

送出機関

母国において育成就労を行いたい外国人の募集や事前研修などを行う機関のことを指します。

送出国政府

悪質な送出機関を排除するため、原則として二国間取決め(MOC)を作成した国からのみ外国人の受入れを行いますので、MOCを作成した政府ということになります。

MOC作成国については、出入国在留管理庁ホームぺージで決まり次第公表されます。

外国人の入国に必要な技能等の要件

技能に係る要件はありませんが、日本語能力に係る要件(日本語要件)として、就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格又はこれに相当する認定日本語教育機関等による日本語講習の受講が求められます。

育成就労外国人の家族帯同について

原則として、家族の帯同を認めないこととしています。

外国人労働者に支払う給料等について

外国人労働者に対しても、日本人と同様に労働関係法令の適用を受けるため、日本人を雇用する場合と同等以上の給与を支払う必要があります。

簡単ではありますが、以上が育成就労制度の概要です。
現段階(2025年2月現在)では、まだまだ未定のものが多いため、固まり次第、情報をあげていきたいと思います。

次回は、技能実習制度と育成就労制度の違いについて触れていきたいと思います。
お役に立てたらうれしいです。

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