技能実習制度から特定技能制度に移る経過措置はどうなっているの?
我が国日本では、現行の技能実習制度を発展的に解消し、国内の人材不足を解消すべく、特定技能制度につなげる制度として育成就労制度を創設することとなりました。
今すでに技能実習生を雇用している事業者さんにとっては、現行の技能実習制度が育成就労制度に変更されるにあたり、技能実習生などの取扱いはどうなっていくのか気になるところかと思います。
今回は、この経過措置としてどのような方針が取られているのかを整理してみました。
育成就労制度施行への流れ
今のところ、次のような流れで令和9年(2027年)をめどに育成就労制度が施行される予定です。
まだ未確定なところも多く、この記事を書いている令和7年3月現在も制度の詳細を決めていくために動いているところです。
図 育成就労制度施行への流れ(2025年3月9日現在)
育成就労制度施行に当たって技能実習生に関する経過措置
育成就労制度が施行される前に、我が社ですでに受け入れている技能実習生についてはどうなるでしょうか?
そう思われる技能実習生の受入れ機関のご担当の方もいるかと思います。国では、現在、次のとおり、施行日後の技能実習生等の取扱いを定めています。
◆ 施行日後に技能実習を行うことが可能なケースは?
②施行日前に一定要件(※)の技能実習計画の認定申請済みである。
※一定要件:施行日から3カ月以内に開始することを内容とする技能実習計画に限る。
これらに該当するケースの場合は、施行日後にも技能実習を行うことができます。
さらに、施行日時点で技能実習1号の実習生については、技能実習計画の認定を受けた上で、技能実習2号への移行も可能です。
ただし、施行日時点で技能実習2号の実習生については、一定の範囲のものだけが技能実習3号に移行可能とする予定です。この一定の範囲については、今後主務省令で定める予定です。
◆ 施行日後に技能実習を行えないケースは?
実習生が施行日前に既に技能実習を終えて出国している場合は、技能実習生として再度入国することはできません。ただし、技能実習を行っていた期間や職種によっては、「育成就労外国人」として再度入国できる場合もあります。
◇ 技能実習から育成就労に変更することはできないの?
技能実習生については、そのまま技能実習制度のルールの下で実習を受けることになり、育成就労への移行はできません。
また、元技能実習生も原則、育成就労制度で就労することはできません。
ただし、技能実習を行った職種・作業に対応する育成就労の受入れ対象分野がない場合(※)など、一定の場合には育成就労で働くことを認めることを予定しています。くわしくは、今後主務省令で定められる予定です。
※「技能実習制度の職種・作業に対応する特定技能1号(育成就労)の受入れ対象分野がないもの」は、下表のとおりです(令和6年9月30日現在)。
表 技能実習制度の職種・作業のうち特定技能1号の対象職種に該当のないもの
本表は、特定技能1号に関するものですが、原則、育成就労の対象分野も同じものとなる予定です。
ただし、特定技能1号の対象分野でも国内での育成になじまない分野は育成就労の対象外となる予定ですのでご留意ください(詳細については今後取り決められる予定です)。
以上が技能実習制度から育成就労制度への経過措置についての説明になります。
次回は、育成就労制度に関するさまざまなトピックについてお話したいと思います。
お役に立てたらうれしいです。