就労ビザ

育成就労制度とは Part3【技能実習と育成就労の違い】

技能実習制度と育成就労制度の大まかな違い

育成就労制度は、これまでの技能実習制度の問題点を発展的に解消し、新たに創設されるもので、大きく見て、両制度は、次のとおり異なるものとなっています。

1.目的

・技能実習:我が国での技能等の修得等を通じた人材育成による国際貢献
・育成就労:我が国の人手不足分野における人材育成と人材確保
※特定技能1号水準の人材を育成し、長期にわたり産業を支える人材の確保

2.期間

・技能実習:技能実習1号(1年)、技能実習2号(2年)、技能実習3号(2年) 計5年
・育成就労原則3年
※主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長可。

3.期間終了後の取扱い

・技能実習:技能実習2号、3号終了後は帰国が原則
・育成就労特定技能1号への移行

4.対象職種・分野

・技能実習:①農業・林業関係、②漁業関係、③建設関係、④食品製造関係、⑤繊維・衣服関係、⑥機械・金属関係など91職種167作業
※詳細は厚生労働省ホームページ「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧」参照
・育成就労特定技能制度の対象分野(特定産業分野)と原則一致
※ただし、国内での育成になじまない分野は育成就労の対象外

【参考:特定産業分野16(11)分野】

①介護、②ビルクリーニング、③工業製品製造業、④建設、⑤造船・舶用工業、⑥自動車整備、⑦航空、⑧宿泊、⑨自動車運送業、⑩鉄道、⑪農業、⑫漁業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業、⑮林業、⑯木材産業
※太字は特定技能2号においても対象分野

5.本人意向による転籍(転職)

・技能実習原則不可能
※技能実習2号から3号に移行する場合で本人の希望があれば同一業務区分で可能
・育成就労条件付きで可能
a.やむを得ない事情がある場合(パワハラや暴力などの人権侵害を受けた場合等)に加え、
b.以下を要件に、同一業務区分内で転籍が可能。
転籍元での就労が1~2年(分野ごとに設定)を超えている。
技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験への合格
転籍先が、適切と認められる一定の要件を満たす。

 

本人意向による転籍の取扱いの変更

・これまで、技能実習制度においては、原則、本人の希望による転籍・転職は不可能でした。
このため、職場でのパワハラや人間関係など悩みを抱えた技能実習生が、脱走して違う職種に就き不法就労状態になることがままありました。
・育成就労制度では、労働者としての権利保護の観点から、一定要件(転籍条件)の下で、本人意向による転籍・転職が認められることとなりました。
・なお、転籍に際しては、ハローワーク監理支援機関外国人育成就労機構と連携して外国人に支援を行うこととしています。
・転籍先が決まった後、新たな受入れ機関(転籍先)は、あらためて育成就労計画を作成し外国人育成就労機構の認定を受ける必要があるので注意が必要です。
 

本人意向による転籍の条件

外国人が、本人都合、本人意向で転籍、転職したい場合、無条件でできるわけではありません。
繰り返しになりますが、次の条件を満たす必要があります。

やむを得ない事情がある場合
これは、パワハラや暴力などの人権侵害を受けた場合等をさします。
同一業務区分内であること
転籍元での就労期間が一定の期間以上であること
※1~2年の範囲で業務の内容等を勘案して分野ごとに規定する予定です。
技能等が一定水準に達していること
技能検定基礎級等に合格し、かつ、日本語試験(各分野ごとに設定した特定技能1号移行時までに必要となる日本語能力の水準:A1~A2相当)に合格することが必要です。
転籍先が適正性に係る一定の要件を満たすこと
転籍先が、育成就労を適正に実施する基準を満たしていることを要件とする予定です。

 

おおまかではありますが、以上が技能実習制度と育成就労制度の違いについての説明になります。
現段階(2025年2月現在)では、まだまだ未定のものが多いため、固まり次第、情報をあげていきたいと思います。

次回は、育成就労期間終了から特定技能制度への移行の流れについて触れていきたいと思います。
お役に立てたらうれしいです。

>お問い合わせはこちらからどうぞ

関連記事

最近の記事
  1. 育成就労制度とは Part6【育成就労制度についてのさまざまなお話】

  2. 育成就労制度とは Part5【技能実習から育成就労への経過措置】

  3. 育成就労制度とは Part4【育成就労から特定技能への流れ】

  4. 育成就労制度とは Part3【技能実習と育成就労の違い】

  5. 育成就労制度とは Part2【育成就労制度の概要】

  6. 育成就労制度とは Part1【制度創設の背景】

  7. 【在留資格】永住者について

  8. 【在留資格】定住者について

  9. 【日本人の配偶者等】在留資格認定証明書の交付申請について

  10. 【在留資格】日本人の配偶者等について