この記事を書いている2025年1月現在、技能実習制度の後継制度としての育成就労制度については、だいたいの概要は固まっていますが、まだ具体的な部分についてはこれから決まっていくものもあり、未定の部分も多くあります。
しかし、現在(2024年6月末)日本に在留している中長期在留の外国人331万1,292人の中で、技能実習生として在留している外国人は42万5,714人となっていて、就労系在留資格のなかでは最も多く、全体でも永住者次いで2番目に多い外国人となっています。
日本国内外でも、技能実習制度が見直され、新しくできる育成就労制度について注目が集まっていることから、一足早くこの制度について記事として書かせていただくこととしました。
また、書くと少し長くなると思われましたので、いくつかのセクションに分けて書きたいと思います。
まずは、最初に育成就労制度が創設された背景について説明いたします。
育成就労制度創設の背景
これまで、我が国日本では、技能等の修得等を通じた人材育成による国際貢献を目的として創設された技能実習制度において、発展途上国を中心とした多くの外国人を受け入れてきました。
しかし、残念なことに、これまで、技能実習制度の目的と実態のかい離や受入れ機関による低賃金・残業代の未払いといった労働関係法令違反、長時間労働、パワーハラスメント・暴力などの人権侵害、技能実習生の失踪など多数の課題が指摘されてきています。
そこで、今回、国は、これまで技能実習制度において指摘されてきた課題を解消するとともに、近年、人手不足が深刻化している我が国において、技能実習制度を発展的に解消して人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設することにしました。
さらに、長期にわたり我が国の産業を支える人材を確保することを目指し、この育成就労制度は、外国人が育成就労ビザでの就労期間を終えた後、今の特定技能制度に移行できるよう、制度に連続性を持たせることで、外国人が日本で就労しながらキャリアアップできるものとなっています。
育成就労制度はいつから始まる?
育成就労制度について定めた入管法改正法・技能実習改正法は、令和6年(2024年)6月21日に交付されました。
また、詳細な時期は未定ですが、令和9年(2027年)6月20日までに施行される予定です。
簡単ではありますが、以上が育成就労制度創設の背景です。
次回は、育成就労制度の概要について触れていきたいと思います。
お役に立てたらうれしいです。