特定活動ビザ

【在留資格】特定活動について

家事使用人、ワーキングホリデーやインタ―ンシップなど、いずれの在留資格にも該当しない活動を行う外国人については、法務大臣が個々に活動を指定する「特定活動」という在留資格があります。
今回は、この在留資格「特定活動」の概要についてご説明させていただきます。

在留資格「特定活動」でできる活動とは

「特定活動」の在留資格の活動内容は、入管法で「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とされており、さらにこの活動は、「特定活動告示に規定する活動」「告示外特定活動」に分けられます。
それぞれの活動内容は以下のとおりです。

1. 特定活動告示に規定する活動

これは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動であって法務大臣があらかじめ告示で定める活動です。
具体例として、たとえば次のようなものがあります。

家事使用人
ワーキング・ホリデー
インターンシップ
医療滞在・医療滞在同伴者
日系四世
日本の大学卒業者
2. 告示外特定活動

これは、法務大臣が個々の外国人について、人道上や特別の事情により特に指定する活動であって、法務大臣の告示で定められていない活動です。
これまで認められた活動としては、次のようなものがあります。

在留資格を持つ外国人の同性婚配偶者
在留資格を持つ外国人の高齢の親(「老親扶養ビザ」と言われます。)
日本国籍の子を扶養する外国人の親(「日籍子扶養ビザ」と言われます。)
  ※状況により、「告示外定住者」に該当する場合もあります。
日本の大学院・大学・短大・専門学校を卒業した外国人の就職活動
不許可に伴う特定活動

なお、在留資格「特定活動」の在留期間は、5年、3年、1年、6月、3月またはは法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。

「特定活動」のご紹介

「特定活動」として認められるもののうちいくつかについてご紹介いたします。

1. ワーキング・ホリデー

ワーキング・ホリデーとは、青少年が相手国の文化とその国の生活様式を知り、相互の理解を深めるため、一定期間、観光等を目的として滞在し、その間、旅行資金を補充するため就労ができるという制度です。
現在(2024年11月現在)、30の国・地域の国民住民について、ワーキング・ホリデーの制度を実施しています。
⇒くわしくはこちら(外務省ホームページ)

ワーキング・ホリデー制度では、対象国によって要件は異なりますが、共通の要件としては次のようになっています。

① 一定期間、日本において主として休暇を過ごす目的であること
② 有効な旅券(パスポート)、帰国のための旅行切符、旅行切符を購入するための十分な資金があること
③ 日本における最初の滞在期間の生計を維持するための相当な資金を所持していること
④ 健康であること
※日本での就労については、特に職種の制限はありませんが、風俗営業または風俗関連業務を行っている事業所での就労は認められていません。
2. インターンシップ

インターンシップとは、外国の大学生が、教育課程の一部として、大学と日本の公私の機関との間の契約に基づき、この機関から報酬を受けて、1年を超えない期間で、かつ通算してその大学の修業年限の2分の1を超えない期間内においてその機関の業務に従事する活動を指します。
※1 卒業または修了した者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者に限ります。通信教育は除きます。
※2 現地の大学と、日本側の会社の間にインターンシップに関する契約書を作る必要があります。その中に、単位として認める記載も必要です。
※3 インターンシップで日本の公私の機関から報酬を受けない場合、滞在期間が90日を超えるときには「文化活動」、滞在期間が90日を超えないときには「短期滞在」の在留資格となります。

3. 日本の大学卒業者

この活動では、日本の4年生大学卒業者や大学院修了者が日本の公私の機関(派遣会社を除く)とフルタイム労働の契約をし、日本の大学等で修得した広い知識、応用的能力等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力(日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上など)を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。
たとえば、上記の要件を満たせば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では認められない、一般的なサービス業務や製造業務等に従事するのも可能です。
また、大学・大学院の専攻と職務内容の関連性までは求められませんが、法律上資格を有する方が行うこととされる業務や風俗関係業務に従事することはできません。

「日本の大学卒業者」としての具体的な活動例としては、次のとおりです。

① 飲食店:店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務
※ 日本人に対する接客を行うことも可能です。
② 工場:日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って作業を行う業務
③ 小売店:仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務
   ※ 日本人に対する接客販売業務を行うことも可能です。
④ ホテル・旅館:翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業等の広報業務、外国人客への通訳を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客業務
※ 日本人に対する接客を行うことも可能です。
⑤ タクシー会社:観光客のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動する業務
    ※ 通常のタクシードライバーとして乗務することも可能です。
4. 在留資格を持つ外国人の高齢の親(老親扶養ビザ)

在留資格を持つ外国人が高齢の親を呼び寄せる場合、一般的には「短期滞在」などで入国することになり、長期間、日本で一緒に滞在することはできません。
しかし、母国に病気の親が一人で生活しているなど人道的な立場から法務大臣が特別の事情により在留資格が認める場合があります。
この場合、一度、「短期滞在」で呼び寄せた後に「特定活動」に在留資格を変更する申請をすることになります。
なお、高齢の親の呼び寄せは、告示外特定活動に該当し、特別に認められるものなので具体的な要件などは明確ではありませんが、母国で身寄りがないなど、人道的に認めざるを得ない状況でないと許可はされないようです。
具体的には、次のような場合が許可要件に当たると考えられます。

・親が70歳以上で一人暮らしであること(配偶者がいない)
親の面倒を見る親族が本国にはいないことを証明できること
・親を監護できるのは日本にいる子(呼び寄せ人)だけであること
・実親を監護するに十分な金銭的資力を有していること

※「短期滞在」から「特定活動」への変更については認められないケースもありますので、「短期滞在」で呼び寄せる前に、必ず最寄りの出入国在留管理局で確認することをおすすめします。

5. 不許可に伴う特定活動

在留期間の更新申請や在留資格変更申請が不許可となった場合に「特定活動」の在留資格が与えられることがあります。
この場合の「特定活動」は出国のための準備期間としての意味合いがあります。
※ 在留カードには、小さく〔出国準備期間〕と印刷されます。

◎「特定活動」の在留資格の具体的な申請方法については、こちら(出入国在留管理庁ホームページ)をご参照ください。

簡単ですが以上が在留資格「特定活動」についての概要になります。参考になればうれしいです。

>お問い合わせはこちらからどうぞ

最近の記事
  1. 【配偶者ビザ】在留期間更新許可申請について

  2. 育成就労制度とは Part6【育成就労制度についてのさまざまなお話】

  3. 育成就労制度とは Part5【技能実習から育成就労への経過措置】

  4. 育成就労制度とは Part4【育成就労から特定技能への流れ】

  5. 育成就労制度とは Part3【技能実習と育成就労の違い】

  6. 育成就労制度とは Part2【育成就労制度の概要】

  7. 育成就労制度とは Part1【制度創設の背景】

  8. 【在留資格】永住者について

  9. 【在留資格】定住者について

  10. 【日本人の配偶者等】在留資格認定証明書の交付申請について