ブラジルやペルーなどの日系人(日系3世)、日本人の配偶者である外国人の連れ子を日本に呼び寄せる場合、日本人と離婚した外国人が引続き日本で暮らしたい場合には、「定住者」という在留資格を取る必要があります。
今回は、この在留資格「定住者」の概要についてご説明させていただきます。
在留資格「定住者」の身分とは
「定住者」の在留資格の身分・地位は、入管法で「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」とされており、さらにこの身分・地位は、「告示に規定される定住者」と「告示外の定住者」に分けられます。
それぞれの内容は以下のとおりです。
1. 告示に規定される定住者
これは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者であって法務大臣があらかじめ告示で定める身分です。
具体例として、たとえば次のようなものがあります。
※インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラディシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴルまたはラオス国内に一時滞在している外国人であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要なものと認め、日本に対してその保護を推薦する方です。
② 日系3世
③ 定住者の配偶者
④ 「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている者の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子(日本人の配偶者である外国人の連れ子)
⑤ 中国残留邦人
2. 告示外の定住者
これは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者であって法務大臣の告示で定められていない身分です。
これまで認められたものとしては、次のようなものがあります。
② 日本人配偶者と離婚・死別後、引き続き日本に在留を希望する外国人
③ 日本人の実子を監護・養育する者(日本人の実子のシングルマザーなど)
なお、在留資格「定住者」の在留期間は、5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。
「定住者」の在留資格申請について
定住者の在留資格の取得には、「特別な理由」が必要です。
告示定住者の場合には、許可要件に該当することを証拠書類や根拠説明書などであらゆる角度から完璧に立証する必要があります。
また、告示されている定住者、これまで認められている告示外定住者だからといって安易に考えていると、不許可になるケースも多々あります。
「定住者」として認められるもののうちいくつかの例についてご紹介いたします。
Case1. 外国人妻の連れ子を呼ぶ(告示定住者)
Q. 今回、前の夫との間に子供がいる外国人女性と結婚したのですが、妻と一緒にこの子どもを日本に呼び寄せるためにはどうしたらよいですか?
A. 外国人妻や夫に連れ子がいる場合、その子が未成年(18歳未満)かつ未婚であれば、「定住者」の在留資格を取得し、日本で住める可能性があります。
また、この場合、「定住者」の在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。
〇Point
・この在留資格認定証明書交付申請では、次のような書類を提出します。
②子供の出生証明書
③出生時から最近までの母子の写真
④妻の離婚協議書(親権が妻にあることの証明)
⑤招へい経緯をまとめた招へい理由書など
招へい理由書には、まず、日本に連れて来なければならない必要性や連れ子が日本に来てからの予定について、具体的に記載する必要があります。
具体的な入学予定の学校名まで記載し、「入学許可証」などを添付できれば申請に有利になります。
・申請時には、申請人(扶養者)の世帯年収も考慮されます。
あまりにも世帯年収が低いと、子どもを扶養できないと判断されるおそれがあるからです。居住する地域や子どもの年齢にもよりますが、最低でも300万円以上の世帯年収があったほうがよいです。
Case2. 日本人と離婚後、引き続き日本に暮らす(告示外定住者)
Q. 私は、「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留し、会社を経営していましたが、この度、日本人の妻と離婚することになりました。引き続き日本に在留したいのですが、どうしたらよいですか?
A. 日本人と離婚後、引き続き日本で暮らすための在留資格として、「定住者」が付与される可能性があります。
この場合、「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可申請を行うことになりますが、審査に当たっては、申請者の方の経済状況、婚姻年数、離婚原因、子供の有無などから総合的に審査されます。
〇Point
・申請に当たっては、次の条件を満たしていると、審査に有利です。
②日本人との間に子供がおり、その子の親権や監護権を持っている。
③子供がいない場合、婚姻年数が3年以上ある。
④離婚原因が配偶者側にある。
⑤これまでの在留状況が良好である。
(年金や健康保険料の未払いがない、犯罪歴がない、入管法上の違反行為がないなど)
・この在留資格変更許可申請では、次のような書類を提出します。
②直近3年間の収入証明書
③経営する会社の決算報告書
④顧問税理士の意見書
⑤社会保険に加入していることを証明する書類
⑥運転記録証明書(無事故無違反の証明)
⑦離婚に至る経緯を書いた説明書など
なお、「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められたケース、認められなかったケースについて出入国在留管理庁から公表されていますので参考までにご確認ください。
※「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について
「定住者」の在留資格の具体的な申請方法については、こちら(出入国在留管理庁ホームページ)をご参照ください。
簡単ですが以上が在留資格「定住者」についての概要になります。参考になればうれしいです。