在留資格全般

在留資格の取消しとは

日本に在留する外国人が、虚偽の申請など不正の手段で上陸許可を受けた場合や、許可された在留資格で定められた活動を一定期間行わないでいる場合などには、入管法の定めにより在留資格が取り消されてしまいます
在留資格が取り消されると、出入国在留管理局により退去強制(強制送還)や指定された期間内に自主出国を求められることになります。

在留資格が取り消されるケースとしては、具体的には以下の場合になります。

1.不正の手段で上陸許可を受けた

偽りその他不正の手段により上陸拒否事由該当性に関する入国審査官の判断を誤らせて上陸許可の証印等を受けた場合
【例】薬物やその他の法令に違反して前科がある、売春業務に携わったことがあるなどの上陸拒否事由を隠ぺいして上陸許可を受けたような場合になります。

②①のほか、偽りその他不正の手段により日本で行おうとする活動を偽り上陸許可の証印等を受けた場合または日本で行おうとする活動以外の事実を偽り上陸許可の証印等を受けた場合
【例】日本で単純労働を行うつもりなのに、「技能」の在留資格でコックの活動を行うと虚偽の申告をしたり、申請人が学歴・職歴など経歴を偽って上陸許可を受けた場合などになります。

これらで在留資格が取り消されると直ちに退去強制の対象になります。

2.許可された在留資格以外の活動を行っている

入管法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者が、この在留資格に係る活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(ただし、正当な理由がある場合を除く)。
【例】留学の在留資格で在留しているにもかかわらず、学校に行っておらず、単純労働を行っているような場合になります。

これで在留資格が取り消されると30日を上限として出国のために必要な期間が指定され、期間内に自主的に出国することになります。指定された期間内に出国しなかった場合は、退去強制や刑事罰の対象となります。
なお、この外国人が逃亡すると疑われる相当の理由がある場合は、自主出国ではなく直ちに退去強制の対象になります。

3.その他

A.虚偽書類提出など

①1.の①、②以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可の証印等を受けた場合
この場合は、申請人に故意がある必要はなく、誤って、提出した書類に虚偽があった場合などです。

②偽りその他不正の手段により、在留特別許可を得た場合
【例】オーバーステイなどで退去強制事由に該当する場合に、在留特別許可の要件(人身取引等で他人の支配下に置かれていた等)に該当していると偽り、在留特別許可を受けた場合などです。

B.許可された在留資格の活動を長期間行っていない

入管法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者が、この在留資格に係る活動継続して3か月以上行っていない場合(ただし、正当な理由がある場合を除く)。
【例】「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でエンジニアとして在留していた者が、勤めていた職場を退職して3か月以上エンジニアとして活動していない場合などです。

ただし、次の就職先を探すためにハローワークに通っているなどの正当な理由があれば、在留資格取消の対象から外れます。求職活動をしても次の更新日までに就職先が決まらなければ更新はできません。

「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(日本人の子・特別養子を除く。)または「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(永住者等の子を除く。)が、その配偶者としての活動継続して6か月以上行っていない場合(ただし、正当な理由がある場合を除く)。

配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留している場合でも次のような場合には、在留資格の取消しは行わず、他の在留資格への変更が認められる場合があります。

・ 配偶者からの暴力(DV)を理由として一時的に避難または保護を必要としている場合
・子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合
・本国の親族の傷病等の理由により、再入国許可(みなし再入国許可を含む)による長期間の出国をしている場合
・離婚調停または離婚訴訟中の場合

C.住居地に関する必要な届出をしていない

①上陸の許可または在留資格の変更許可等により、新たに中長期在留者となった者が、この許可を受けてから90日以内、出入国在留管理庁長官に住居地の届出をしない場合(正当な理由ある場合を除く)。
②中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に届け出た住居地から退去した日から90日以内、出入国在留管理庁長官に新しい住居地の届出をしない場合(正当な理由がある場合を除く)。
③中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に虚偽の住居地を届け出た場合

必要な住居地の届出を行わなかった場合でも、次のような場合には正当な理由があるとして在留資格の取消しは行われないことになります。

・勤めていた会社の急な倒産や派遣切り等により住居を失い、経済的困窮等によって新たな住居地を定めていない場合
・配偶者からの暴力(DV)を理由として避難または保護を必要としている場合
・病気治療のため医療機関に入院している等、医療上のやむを得ない事情が認められ、本人に代わって届出を行うべき者がいない場合
・転居後急な出張等により再入国許可(みなし再入国許可を含む)による出国中の場合
・頻繁な出張を繰り返して1回当たりの日本国内の滞在期間が短いもの等、在留活動の性質上住居地の設定をしていない場合

これらで在留資格が取り消されると30日を上限として出国のために必要な期間が指定され、期間内に自主的に出国することになります。指定された期間内に出国しなかった場合は、退去強制や刑事罰の対象となります。

故意でなくても、うっかり在留資格取消の対象となることがありますので、注意が必要です。

以上が在留資格の取消しについての概要になります。参考になればうれしいです。
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