在留資格を得るための要件として、①在留資格該当性、②基準該当性、③犯罪歴など特別な問題がないことがあります。
①在留資格該当性は、申請人が日本において行おうとする活動が入管法(出入国管理及び難民認定法)別表において在留資格ごとに定められた活動に該当すること
②基準該当性は、申請人が基準省令において在留資格ごとに定められた基準に適合することですが、では、③の「犯罪歴など特別な問題がないこと」とは、具体的にどのようなことでしょうか。
※①・②の詳細については、別記事「在留資格該当性と基準適合性」を参照ください。
(1) 犯罪歴
過去に犯罪歴があると日本への上陸拒否事由(入管法第5条第1項)に当たり、在留資格は取れないことになります。
1年以上の禁錮・懲役刑の判決が確定してから何年経っていたとしても永久に上陸拒否事由となります。また、禁錮・懲役刑の執行が猶予され実際には申請人が刑務所に行かなかった場合でも上陸拒否事由になります。
薬物関連の前科がある外国人は刑に処せられてから何年経っても永久に日本に上陸できません。
犯罪歴については、絶対に隠して申請することのないようにしてください!
在留許可を得ても後で分かった場合、資格の取消となります。
なお、犯罪が比較的軽微なものであれば、判決書など関係資料の写しと自己の行為につき深く反省しており再度同様のことを繰り返さない決意を述べた上申書を提出することで許可が出る場合もあります。
(2)税金の滞納
納めるべき税金を納めていない重大な問題があると在留資格の変更や更新が認められないことがあります。
一般的には重加算税がかかっているような場合には、申請が不許可になるリスクが高いと考えられます。
(3)加入義務がある健康保険等への未加入・保険料等の未払い
近年、健康保険や年金の加入・支払いについては、厳しく審査される傾向にあります。
例えば、「永住許可申請」においては社会保険又は国民健康保険・国民年金の未加入・未払いについては厳しく審査され、申請前に未納分をまとめて支払っても許されません。過去にさかのぼって未払いがないという実績が必要になります。
また、「特定技能」の在留資格は、申請人だけではなく、所属機関が「労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守」していなければ許可されません。
(4)各種届出の未履行
期限までに転職をした場合の届出をしないなど、「活動機関に関する届出」「契約機関に関する届出」の未履行を理由に更新前は3年間であった在留期間が、更新後は1年間となるおそれがあります。
(5)所属機関の経営難等
所属機関の財務内容が悪いと、所属機関の経営の継続性・安定性が認められないとして申請が不許可になることがあります。
(6)外国人採用の必要性が認められないこと
取引先にも従業員にも外国企業や外国人がいないのに申請人が通訳・翻訳業務に従事するとして申請すると、「申請人が通訳・翻訳業務に従事するとは認められない」と言われて申請が不許可になることがあります。申請上の業務内容と実態が合っていないのではないかと疑われるからです(実際は、単純労働に就かせるなど)。
ただし、日本人を採用すれば十分だから外国人の採用は認めないという理由で申請が不許可になることはないと考えてよいでしょう。
(7)申請内容に信ぴょう性が認められないこと
申請内容に虚偽があると見られる場合には許可は認められません。
入管法において、「申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものではなく」(入管法第7条第2号)とあり、申請が虚偽のものでないことが要件となっています。
活動内容だけではなく、過去の経歴等、他の申請書類にも虚偽は認められません。
申請内容が虚偽であると認定される場合としては、申請人が数年前の別の申請の際に提出した履歴書や過去の在籍証明書の記載と今回の申請で提出した書類の間に矛盾がある場合が挙げられます。
また、申請人又は所属機関が過去にも虚偽申請をしていたような場合は、明確な矛盾点がなくても信ぴょう性に欠けるという理由で申請が不許可になることがあります。
申請内容に虚偽がないかは厳しく審査されるので、絶対に虚偽の記載のある書類で申請は行わないようにしてください!(学歴偽造・職務経歴書偽造など)
在留資格の許可を得ても後で分かった場合、資格の取消となります。