在留期間の更新
在留資格を有している外国人は、原則として付与された在留期間に限って我が国に在留することができることとなっています。例えば、上陸許可等に際して付与された在留期間では、所期の在留目的を達成できない場合に、いったん出国し改めて査証(ビザ)を取得し入国することとなると外国人本人にとって大きな負担となってしまいます。
そこで入管法は、法務大臣が日本に在留する外国人の在留を引き続き認めることが適当と判断した場合に、在留期間を更新してその在留の継続が可能となる手続を定めています。
在留期間の更新を受けようとする外国人は法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更新許可申請をしなければなりません。
●具体例
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労中のITエンジニアが転職して、転職先においても今まで同様ITエンジニアとして就労することになりました。ただし、この「技術・人文知識・国際業務」の在留期間はあと3か月弱しか残っていません。
この場合、在留期間更新許可の申請をすることになります。
また、前もって、勤務先の変更について、契約機関変更の届出をすることになります。
この届出を適切に履行していないがために、その後の在留期間更新許可申請時において希望した在留期間よりも短い期間の許可となるなどの不利益が生じることが多々あるので、注意が必要です。
なお、転職しても今の在留資格で在留できるか疑問がある場合は、就労資格証明書(※)を前もってもらっておくと安心ですし、すみやかに審査が進みます。
※就労資格証明書: 就労資格証明書とは、日本に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です。
在留期間更新許可申請の手続き
在留期間更新許可申請とは
いずれかの在留資格で在留している外国人の方が、現に有する在留資格を変更することなく、付与された在留期間を超えて、引き続き在留を希望する場合に、在留できる期間を更新するために行う申請です。
手続対象者
現に有する在留資格の活動を継続しようとする外国人
申請時期
在留期間の満了日までに申請しなければなりません(6ケ月以上の在留期間を有する者にあっては在留期間の満了する概ね3カ月前から申請できます。ただし、入院、長期の出張等特別な事情が認められる場合は、3カ月以上前から申請を受け付けることもあります。事前に、申請する地方出入国在留管理官署へ問い合わせてください。)
※申請が在留期間満了日まで受理されれば、在留期間の満了後も、審査結果が出るとき又は従前の在留期間満了の日から2月を経過する日のいずれか早いときまで、引き続き現在の在留資格で在留することができます。これを特例期間といいます。
なお、在留期間の満了の日から2か月を経過したときは不法残留となってしまいます。
申請提出者
- 申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)
- 代理人(申請人本人の法定代理人:親権者、未成年後見人、成年後見人)
- 取次者 ※以下の(1)~(3)
(1) 地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けている次の者で、申請人から依頼を受けたもの
・申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
・申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
・外国人が行う技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
・外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
(2) 地方出入国在留管理局に届出た弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたもの
(3) 申請人本人が16歳未満の場合又は疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合には、その親族又は同居人若しくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
(注) 取次者が、在留期間更新許可申請を提出する場合には、申請人本人は地方出入国在留管理官署への出頭は要しないものの、日本に滞在していることが必要です(申請が受理された後、審査中の出国は可能です)。ちなみに、許可を受ける時も日本に滞在していなければなりません(出国中は許可を受けることができません)。
提出先
居住地を管轄する地方出入国在留管理官署
手数料
許可されるときは4,000円
※通知書、パスポート、在留カード、手数料納付書に収入印紙4,000円を貼付して地方出入国在留管理局へ提出することになります。
標準処理期間
2週間~1か月
※あくまでも目安です。
在留期間更新許可申請の流れ
在留期間更新許可申請において、確実に交付を受けたい場合は、専門の行政書士に依頼するのが便利です。
在留期間更新許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合の流れは以下のようになります。
◆行政書士に在留期間更新許可申請を依頼する場合の流れ(例)
① 行政書士に相談(申請内容、更新時期等)〔11月〕
② 業務委託契約(報酬額決定)
③ 行政書士から必要書類のご案内
④ 必要書類の準備・行政書士に提出
⑤ 行政書士が申請書作成(申請人から詳しい内容をヒアリングしながら書類一式をまとめる)
⑥ 行政書士から申請人に申請書を送付、署名、行政書士に返送
※パスポート、在留カード原本を含む。
⑦ 行政書士が地方出入国在留管理局に申請〔1月〕
※在留期間満了日が3月末日の場合、1月から申請可能
※パスポート、在留カード原本を一時返却
〔標準処理期間:2週間~1か月〕
⑧ 行政書士が審査終了通知書受領、申請人に連絡〔2月〕
⑨ 結果受領のための必要書類の準備・送付
※パスポート、在留カード原本を含む。
⑩ 行政書士が地方出入国在留管理局にて結果受領
※パスポート、在留カード原本(新・旧)を返却
⑪ パスポート、在留カード(新・旧)原本の受領〔3月〕
上記の流れから余裕をもってスケジュールを組んで行政書士に相談するのが望ましいでしょう。
更新を忘れてしまった場合
在留期間の更新を忘れてしまった場合は、すぐに出入国在留管理局へ出頭し、事情を説明する必要があります。その際に、外国人社員一人で行くのではなく、会社の代表者か、人事責任者の方が同行した方がよいでしょう。
事情によっては特別に対応してもらえることもあるようですが、原則論としては、出国しなければならなくなる可能性も高くなります。
出国命令で出国すると、原則1年は日本に入国できません。またオーバーステイ期間中に仮に逮捕されてしまうようなことがあると、5年以上入国できなくなってしまう場合もありますから十分注意が必要です。さらに会社側へは不法就労助長罪で懲役や罰金が課される可能性もありますので、外国人社員の在留資格更新の管理はしっかり行っておくようおすすめいたします。